以前の記事で「AIに情報が少なすぎた」という失敗を書きました。「6月のおたよりを書いて」と一言だけ頼んで、どこの保育園にも当てはまらない文章が返ってきた話です。

あれから私は「情報をちゃんと渡す」ことを意識するようになりました。

……そして今度は、渡しすぎました。

「一度に全部頼めば効率的」と思っていた

やってしまったのは、複数のお願いを一度にまとめて頼んだときです。たとえばこんな感じです。

「7月のおたよりを書いてください。書き出しは時候の挨拶で、やわらかい文体で、ひらがな多めで、2〜3文で、園の様子も入れて、「〜の候」は使わないで、次に今月の活動のまとめを3つ箇条書きで、最後に夏休みのお願いを保護者向けに丁寧に、でも押し付けがましくなく、全体で400字くらいで」

一気に渡せば一気に仕上がる。そう思っていました。返ってきた文章は確かにそれっぽかった。

AI の返答

7がつのおたより まぶしい日ざしとともに、夏らしい季節がやってきました。子どもたちは、園庭で元気いっぱいにからだを動かしたり、水やどろんこの感触を楽しんだりしながら、友だちとのやりとりを少しずつ広げています。暑さに気をつけ、こまめに水分をとりながら、今月ものびのびと過ごしていきたいと思います。 【今月の活動】 ・水あそびやどろんこあそびを通して、夏ならではの気持ちよさや楽しさを味わいます。 ・七夕の飾りをつくり、歌やお話に親しみながら、季節の行事を楽しみます。 ・夏の草花や虫を見つけ、気づいたことを友だちや先生と伝え合います。 【夏休みについてのお願い】 夏休み中も、できる範囲で早寝・早起きや朝ごはんを心がけ、ゆったりと元気にお過ごしください。お出かけの際は、こまめな水分補給や休憩を取り入れていただければと思います。また、お子さまが経験したことや楽しかったことを、ぜひご家庭で聞いてみてください。休み明けに、子どもたちのお話を聞けることを楽しみにしています。

でも読むと、なんか薄い。時候の挨拶はそれなりだけど、特別よくはない。活動のまとめも無難。夏休みのお願いも、可もなく不可もなく。

条件が多すぎて、どれも中途半端に満たした文章になっていたんです。

注文が多いと、全部が「及第点」になる

このとき気づいたのは、注文と質はトレードオフだ、ということです。

「2〜3文で」「やわらかく」「ひらがな多めで」「〜の候は使わない」くらいならいい。でも「時候の挨拶+活動まとめ+保護者へのお願い」を一度に頼むと、AIは全部に気を配ろうとして、どれも「それなり」に落ち着いてしまう。

人間でも同じかもしれません。「あれもこれもそれも一度に」と頼まれたら、一つひとつを丁寧にやり切れない。

「一つずつ」に変えたら、別物になった

そこで、頼み方を変えました。一度に全部ではなく、一つずつ。

  • まず「時候の挨拶だけ3パターン」。気に入ったものを選んで
  • 次に「今月の活動まとめだけ箇条書きで」
  • 最後に「夏休みのお願い文だけ」

たとえば、時候の挨拶をこう頼みました。

「まずは時候のあいさつだけ、3種類考えて」

AI の返答

1,日に日に暑さが増し、冷たい水が心地よく感じられる季節となりました。園では、水あそびやどろんこあそびを楽しむ子どもたちの、明るい笑い声がひびいています。 2,青空に白い雲がうかび、夏らしい季節になりました。子どもたちは、草花や虫との出会いを楽しみながら、のびのびと過ごしています。 3,まぶしい日ざしに、夏の訪れを感じるころとなりました。子どもたちは、汗をきらきらさせながら、毎日げんきいっぱいに遊んでいます。

3つとも「それっぽい」。でも全部を一度に頼んだときとは、手応えが違いました。1をベースに選んで、「子どもたちの具体的なつぶやきを加えてほしい」とひとこと追加注文したら、ぐっと「うちのクラス」らしくなりました。

同じ内容でも、一つに絞って頼んだ方が、返ってくる文章が明らかによくなりました。「これいい」と思えるものが出てくる確率が上がった、という感じです。

少し手間に思えますが、「及第点の文章を直す手間」より、「一つずつ頼む手間」の方がずっと小さかった。

聞き方の失敗、二種類

これまでの記事でお伝えしてきた「聞き方の失敗」を整理すると、こうなります。

  • 情報が少なすぎた——「6月のおたよりを書いて」だけ。AIがどこにも当てはまらない文章を作った
  • お願いが多すぎた——一度に全部頼みすぎ。全部が「及第点」に落ち着いた

ちょうどいいのは、渡す情報は必要なぶんだけ、お願いは一つずつ。当たり前に聞こえますが、やってみてはじめてわかった「ちょうどいい」でした。

今日のまとめ

  • 複数のお願いを一度にまとめると、全部が中途半端になる——注文が増えるほど、一つひとつの質が下がる
  • 「一つずつ」に分けると、返ってくる文章が変わる——手間に見えて、トータルの時間は短い
  • 情報は「足りない」も「多すぎ」もよくない——渡すのは必要なぶんだけ、お願いは一つに絞る

前回の「情報が少なすぎた失敗」と、今回の「盛りすぎた失敗」。両方転んでみて、ようやく「ちょうどいい」の感覚がつかめてきた気がします。

失敗談ばかりで恐縮ですが、同じところで転ばないためのヒントになれば、うれしいです。

それでは、また。